レジン造形作家の私が、このドライフラワー製法を考案したきっかけは、これまでのレジンフラワーに満足ができず、もっと美しい、生きている花の姿と色をそのままにレジンの中に閉じ込めたい、そんなレジンフラワー作品が作りたいと思い立ったことでした。

そこでまずシリカゲルで花をうずめて作る、原色ドライフラワーで試してみることにしました。 ご存じの方も多いと思いますが、原色ドライフラワー製法はその名のとおり色が鮮やかで、姿かたちも生花に近い状態で乾燥させることができます。

しかし実際にレジンの中に封入してみたところ、光の屈折のためでしょうか、シリカゲルの粒によってできた花びらのわずかなおうとつの陰影が強調されて、あまりきれいな仕上がりにはなりませんでした。
また、花びらやガクなどにくっついて取れなくなったシリカゲルが、光を反射してキラキラ光って目立ってしまうのも気になりました。
さらに、花びらに直接シリカゲルが当たるため、花びらの細胞が壊れてしまうためか、そこからレジンが染み込んで、布が水にぬれたようにシミができてしまい、販売できるレベルの仕上がりにはなりませんでした。

ほかにきれいにドライフラワーを作る方法がないか調べてみましたが、個人で作れる方法は見つかりませんでした。 それで 「ないなら自分で考えよう」 そう思い立ったわけですね。



そのためにはまず次の3点をクリアーする必要がありました。

@ シリカゲルよりも微細な素材で花をうずめる。 そのための資材を見つける。 また、その素材は水分を吸収せず、水にも溶けない物であること。

A 花に接しなくても、水分を吸着させる強力な乾燥剤を見つける。

B より速く花の水分を放散させる方法を工夫する。


この問題点をクリアーしたのが、アメージングスタイルドライフラワー製法です。
ですので、作り方は基本的には原色ドライフラワー製法と変わりません。 違うのは、花をうずめる埋設材と、水分を吸収する乾燥剤を分けた、という点ですね。

ですからシリカゲルで作る原色ドライフラワーと同様に、自然乾燥によるナチュラルドライフラワーのような量産には向きません。
この製法は、レジンフラワーはもちろんですが、ガラスドームや額などに密閉するアレンジメントに適しています。



それでは製法の基本工程を見ていただきましょう。

まずシリカゲルと埋設材を比較してみましょう。
 


拡大してみますと、粒の大きさの違いがよくわかります。
 
素足で小石の上を歩くのと、砂の上を歩くのでは、どちらが痛いですか? 小石の上を歩く方が痛いですよね。 花びらでも同じです。 粒が細かければ、加わる力が分散しますから、花びらにダメージを与えにくく、均一に力が加わりますから、花びらが縮みにくくなります。 また、粒によって花びらにへこみを付けることもありません。

この埋設材は天然鉱石由来で安全な素材です。 また、研磨によって表面がなめらかに加工されていますから、花びらを傷つけることもありません。




次に乾燥剤についてご説明しましょう。
 
拡大画像。 粒は約2ミリ程度です。

 
この乾燥剤は、アメリカの企業によって開発され、シリカゲルの約3倍というとても強力な吸着力を持っていて、天然鉱石に近い、安全な素材でできています。
現在は開発企業と日本の企業によって国内に合弁会社が設立され、そこで製造されていて、私はその会社と直接取引をするとともに、同社の営業活動にも微力ながら協力をさせていただいています。


この乾燥剤は、元来は工業用に使用されている物で、私が初めてドライフラワーに応用をしました。 シリカゲルのように再乾燥させることで、何回でも繰り返し使用することができます。

(この製法の核となる資材ですので、乾燥剤の名称をお教えすることはできません。 また、入手することは困難で、もし買えたとしましても、当方の販売価格の3倍ほどと、かなり高額となっています)




それでは作り方をご説明しましょう。

仕込む容器に乾燥剤を入れます。
 


埋設材を入れます。



花を入れて、花びらの形を整えながら
埋設材で埋めていきます。




埋設材で完全に埋めます。



乾燥剤を入れます。



埋設材を入れます。

ここまでが基本の仕込み方です。 シリカゲルで埋める工程を、乾燥剤と埋設材に分けた、ということがおわかりいただけるかと思います。


花に含まれる水分量や、入れる乾燥剤の量によって乾燥期間は異なりますが、マーガレットなどのような水分の少ない花でしたら5日ほどで、ミニバラなら約1週間、一般的なバラで約2週間程度で乾燥させることができます。



乾燥した花を取り出します。
 
セットに付属の濾し器で、乾燥剤と埋設材を濾しわけます。
 


付属の筆で、表面についた埋設材をクリーニングします。
 
以上が基本工程です。



さらに速く乾燥させる方法としまして、減圧によって花の水分をより多く放散させる方法を、テキストではくわしくご説明しています。
と言いましてもとても簡単で、100円ショップやホームセンター、スーパー、ドラッグストアなどで簡単に入手できるものを使います。


ここでは減圧の効果を見ていただきましょう。

わかりやすくするために、埋設しない状態で見ていただきます。
 


減圧をせずに1時間経過した状態。
放散した水分がガラス面にうっすらと結露しています。




減圧をして1時間経過した状態。
あきらかにより多く水分が放散されていることが
おわかりいただけると思います。

 
減圧することによって、約20%乾燥時間を短縮することができます。 乾燥時間が速ければ速いほど、新鮮な花の状態でドライフラワーにできるわけですね。

減圧するとなぜ速く水分が放散させるのか? に関しましては、テキストでくわしくご説明しています。



この基本製法のほかに、押し花とドライフラワーの中間の厚みで乾燥させる、「半立体ドライフラワー」 の作り方もテキストで解説しています。
 
半立体ドライフラワー