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雑貨人生20数年の想い出、感じたこと、創作を愛する人へのエール といった感じのエッセイです。
雑貨屋KUMAのエッセイ 「雑貨想い出帖」 バックナンバー

   Vol,14〜Vol,59

(14以前は保存してありません)


第25回
「私がこれから作りたいもの」
(2002年11月18日UP)

今回はこれから私がどういう方向へ進もうとしているのか、どんな作風のものを作ろうと思っているのかを書こうと思ったのですが、ちょっと考えただけで、「これはむずかしいな」と思ってしまいましたね。 頭の中に明滅するこのデザインや線を、私の稚拙な文章で説明するということは大変ですから。 果たしてうまく書けるかどうか・・・

今、私の頭の中には小さいものから大きなものまで、いくつかのおぼろげな形や線があります。
前に書きましたように、私のこのヘボな頭からひとつの作品が生まれるまでには、とてもとても長い時間がかかります。 悲しくなるくらい時間がかかり、しかもそれをうまく立体に表現できません。

ではどんな形や線が頭に浮かんでいるのかといいますと、「風に流され、ちぎれる雲」「岩と岩の間をうねりながら流れる川の水」「花びらの曲線」「暗闇の中の炎の揺らめき」「雨にぬれ、風に揺れる笹や竹」「水を含んだ苔のやわらかさ」「川のよどみの魚の動き」「飛び立つ白鷺の羽」

どうでしょうか? 伝わりますでしょうか? この線と色と落ち着きと深さとやわらかさと・・・文字にするととても陳腐なことなんですが、つまりは自然の中にある、自然が作り出したものをそのまま作品のデザインに取り入れたいんですね。 形を真似するということではありませんし、素材に取り入れようとしているわけでもないんです。 線のやわらかさ、深さをどうかしてデザインの中に活かしたいんです。
おそらく私には無理だと思います。 私にはそれほどの力量はありません。 しかしこれらの「美」がどうしても頭から離れませんね。

こうした想いはきっと私だけでなく、大勢の人の中にあるのでしょうね。 「あの美しさを・・・」という気持ちは。 むずかしいことですよね。 しかもそれにインテリアの機能を無理なく組み込まなければいけません。 遠い遠い、遥かかなたの「夢」で終わるかもしれませんね。

作品の大きさは関係ないんですよ。 だってそうでしょ? 花の美しさは大きさには関係ないじゃないですか。 虫眼鏡でのぞかなければよく見えないような小さな花も、山百合もその美しさには変わりないですからね。 大きさ、派手さではないんです。 その線の「流れ」なんです、大切なのは。
それはわかるんですが、ではそれをどう形にすればいいのか、どう組み合わせて全体を作ればいいのかが、私にはまだわからないんです。
眼をつぶると真っ暗な中で、雲が流れるような、水がうねるような線がからんでは消えていきます。 なんとか掴もう、形にまとめようとするのですが、ふわっと消えてなくなってしまいます、あぁ。

これまでに作ってきた作品の中にも、その線をとらえようとして作ったものがいくつかあります。 ある意味においてはほとんど全部と言ってもいいと思います。 形だけでなく染色法もそうです。 それらの中には、自分ながら比較的うまくとらえたなと思う作品もありますが、もっともっと研ぎ澄ましたデザインのものが作りたいですね。

やはり文章ではうまくかけませんね(笑) 短いですが今回はこれでご勘弁ください。
みなさんは眼をつぶると、どんな「線」が見えますか?