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雑貨人生20数年の想い出、感じたこと、創作を愛する人へのエール といった感じのエッセイです。
雑貨屋KUMAのエッセイ 「雑貨想い出帖」 バックナンバー

   Vol,14〜Vol,59

(14以前は保存してありません)


第26回
「クリスマス、雑貨屋さんは忙しい!」
(2002年12月2日UP)

今回は時期ということで、雑貨屋さん時代に経験した 「クリスマス商戦」 について書いてみましょう。 これからギフトをお求めになろうと考えていらっしゃる方に、少しは参考になるかな、と思いますよ。

街にイルミネーションが光り輝き、なんとなく優しい気分になる今の季節、雑貨屋さんにもツリーやオーナメントが飾られ、店内にはクリスマスソングが流れる中を、あれこれと見て歩くだけでも楽しいものですよね。
ところが売る側はそんな雰囲気とは裏腹に、「修羅場」のごとき1ヶ月間を過ごしているのです。

まずは仕入れですが、早いメーカーは8月か9月頃にオーダーしなければいけません。 一年中クリスマス商品を売っているショップもありますが、暑い盛りにクリスマス商品を選ぶのはなんだかピンとこないものですよ。 もっともこれは私がアルバイトをしていたショップでのお話。 店長をしたときはいわゆるクリスマス商品は、リスクが大きいので扱いませんでした。 なぜならクリスマス商品は普通返品が出来なのです。

11月下旬になるとそろそろ店内のディスプレイを、少しずつそれらしい雰囲気にしていきます。
一度に全体を飾ると、1ヶ月の間にお客様に飽きられてしまいますから、まずは一部でギフトを提案するコーナーを作り、徐々に商品を入れ替えていきます。
そうなんです、通常の商品とクリスマスギフト用の商品は違うのです。 そうしたギフトシーズンに売れる商品や、価格帯というのがあるんですね。

ギフトも贈る相手によって違いますよね。 お友達、会社の同僚、家族などにあげるものはどのくらいの値段で、恋人あるいは好きな人にあげるものはこれくらい、という具合にですね。 その値段はだいたい決まっているんです。
友人などにあげる場合はだいたい500円〜2千円くらい。 好きな人に上げるものは3千円〜3万円くらいだったでしょうか。
それから贈りやすい商品というのもありますよね。 普通もらった人が困るようなものは選びません。 まぁこれなら無難かな、という商品をたくさん取り揃えておくんです。
一番よく売れるのは「お付き合い」であげる、800円程度の商品ですね。 今もおそらく変わらないと思いますが、マグカップはそんなギフトによく使われましたね。 ティーカップはあまり売れませんでした(私のショップでは)。 どういうわけかマグカップなんです。 おそらくティーカップはたいていペアで揃えるものですから、マグカップの方が安直だ、ということなんでしょうね。
またマグカップは1個ずつ箱に入ったものが多いのにくらべ、ティーカップは箱なしが多いというのも理由のひとつだと思います。 もちろん箱付きのマグカップを仕入れるわけなんですが。
ギフトシーズンによく売れるものとして、置時計、ライト、トラベルセットなどがありました。 最近の住宅事情を反映して、壁掛け時計はあまり売れませんでしたし、私もおすすめしません。 マンションやアパートでは、壁にくぎやネジ、フックなどを取り付けることを禁じるところが多いのですよ。

贈る相手が男性と女性でも当然違いますよね。 男性にはライターや灰皿、腕時計などが多く、女性にはジュエリーケースや鏡などが多かったかな。 男性が女性に贈るものの方が値段が高かったように思います。 売るこっちがびっくりするような高価なブレス時計を、「ギフト用に包んでください」と言って緊張していた男性のことを今でも覚えています。 彼の恋は果たして成就したのでしょうか?

ギフト用の商品を仕入れる場合に、「包みやすいもの」であることも重要な要素でした。 忙しい時に包みにくいものは時間のロスになりますからね。 ですから箱付きの商品がどうしても多くなりますし、そうした商品を中心にクリスマス商戦の計画を立てるわけなんです。
ちなみにラッピングしにくかったものに、鞄、さっきでました箱なしのティーカップなんかがありましたね。 四苦八苦した記憶があります(笑)

私は雇われ店長で、自分のショップではありませんでしたから、やはり売上を伸ばさなければいけませんでした。 ですから12月1ヶ月間は商品構成が自分の好みから若干ずれるのはやむを得ないことでしたが、やはりおもしろくはなかったですね。 こんなもの売りたくないなぁ〜と思いながら仕事をしていました。

12月の上旬はまだそれほど忙しくはないのですが、クリスマスが近くにつれてだんだんと夕方から夜にかけて忙しくなりましたね。 
問題はラッピングでした。 いかに早くさばくかも売上に大きく影響しましたから、ラッピングする台を別に用意したり、レジまわりを片付けたり、よく売れる商品はあらかじめラッピングをしておくなどしていましたよ。
忙しい時などはラッピングラッピングで、顔も上げられないくらいでした。 お金を間違わないようにするだけで精一杯でしたね。 おもしろいことに極度に忙しくなるとなんだか笑ってしまうんですね、人間って。 「ひえ〜〜〜ハハハハハハ」なんて意味もなく笑いが出てくるんです。 もっとも店長である私がイライラしていたら雰囲気が悪くなりますしね。

クリスマス商戦は3回経験しましたが、いつも憂鬱でうんざりしていました。 はぁ〜・・・またクリスマスか・・・ってね。 ですからクリスマスが終わると、正月が明けるまで何も手につかない状態でしたよ、なぁんだかぼんやりしちゃって。 メーカーさんに 「そろそろ仕事しなよ」 とか言われたりしました(笑)

これらの経験から、クリスマスギフトを選ぶ時に注意することをまとめますと、まずは早めに買うこと。 当然いい商品はよく売れますからなくなる可能性が高いんです。 そうした商品はほかのショップでも必要とされるわけですから、なくなったら追加注文ができなくなることも多いんですよ。 それに12月上旬の方が商品構成もいいんです。 ですから早めに選んで買っておくこと。
早めに買ってしまうとあとからもっといいものが出るような気がしますが、前に書きましたように、商品はだんだんレベルが下がっていきますから、そんなことはほとんどないのですよ。

ショップの目立つところに「ギフト用に」とたくさん置かれているものは、そのショップの定番の商品でないと思った方がいいですよ。

次にギフトを選ぶのは平日のお昼過ぎがいいです。 平日はすいてますし、商品が届くのはたいてい午前中で、お昼過ぎには品出しが終わっているはずですからね。 店員さんがラベラーでガッチャンガッチャン値付けをしていたら、少し経ってから行ってみるといいですよ。
夕方5時から7時の間は避けた方がいいです。 この時間帯が一番忙しいですからね。

腕時計は時間のあっているものを選びます。 またジャバラより革ベルトの方が無難です。 ジャバラは大きすぎる場合に詰めるのが面倒ですし、小さいと使ってもらえませんからね。 
置き時計や掛け時計は、買う時に店員さんに電池を入れてもらって動くかどうかチェックした方がいいです。 言いにくいかもしれませんが、ちゃんとお願いしましょう。
そのほかにも動くもの、鳴るもの、電灯のつくものは実際に試してもらいましょう。
また、箱に入った商品は箱から出してもらって見てみましょうね。 鏡は割れてないかチェック!

ライターを贈る場合は、オイルよりガス式のほうが無難です。 オイルのにおいを嫌う人も多いですからね。

いろいろとコツや注意することはありますが、まぁ早めに買っておくこと、これが一番でしょうね。 私はそう思いますよ。
みなさんも素敵な雑貨を探して、大切な人にプレゼントしてくださいね。 くれぐれもぎりぎりになってからあわてて探す、なんてことのないよう(笑)