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雑貨人生20数年の想い出、感じたこと、創作を愛する人へのエール といった感じのエッセイです。
雑貨屋KUMAのエッセイ 「雑貨想い出帖」 バックナンバー

   Vol,14〜Vol,59

(14以前は保存してありません)


第51回
「2003年から2004年へ」
(2003年12月16日UP)

私がネットショップの運営を始めて、二年半が経つわけなんですが、この一年はネットショップを取り巻く環境が変わったように感じます。 ほかの業界のことはわかりませんが、特にハンドメイドの周辺では大きく変化したと思いますね。
私自身がネットショップの運営に慣れてきたためもあるでしょうけれど、PCの家庭への普及と歩を合わせるように、雑貨やハンドメイドが元気になってきたように感じた一年でした。
お作りになるアイテムも多種多様で、そのどれもにどんどんとプロが生まれています。 つまりご自分の作品を販売したり、教室をお持ちになる方が増えてきています。 これはとてもいいことだと思いますね。
ネットショップの数はいったいどのくらいになったのでしょう。 もう見当もつかないですね。
これまでは趣味で終わっていたハンドメイドが、人に見てもらう機会も増えましたし、そして販売して売れた時の喜びを味わうこともできるようになりました。
この差は大きいですよね。 見てもらうだけでも作る張り合いが増しますし、当然技術も向上します。 また単に物を作るということだけでなく、自分に自信を持つことができるようになった方も、多いのではないでしょうか。

社会との関わりが薄れてきますと、人というのはなんとなく気持ちの張りもなくなってきますし、なにより毎日が平坦でつまらないですよね。
やはり生きている以上、日々の生活に楽しみと目的がないといけません。 その楽しみも大きい方がいいですよ。 そういった意味でネットの普及はハンドメイドを変えましたね。 これまでの「作る楽しみ」から、それに「見てもらう楽しみ」「売る楽しみ」がプラスされたわけです。 これは本当にいいことだと思いますね。
ネットがこうしたことに貢献するとは、考えてもいませんでしたよ。

それでは雑貨やインテリア雑貨の世界はどうでしょうか。
実店舗の方はかなりつらい状況だと思いますし、これから経営がむずかしくなっていくのではないでしょうか。 ショップもかなりの数がこれからも淘汰されることが予想されますね。 つまり独自性のないショップはつぶれていくと思います。
今後人は家からあまり出なくなるようになるでしょうから、お客様が来てくれてはじめて商売になる実店舗は、そういった意味でもむずかしいでしょうね。
もちろん完全になくなることはないでしょうけれど、仕入れ値を下げるための大型化と、それとは反対に他店との差別化を明確にするための、細分化(マニアック化)が進むと考えています。 もうその兆候は現れ始めていますよね。

それではネットショップの今後はどうなるでしょうか。
そろそろ最初の過渡期に差し掛かったと思いますね。 私が始めた頃はまだネットショップも少なくて、異業種間での有名店同士の相互リンクが多かったですが、今はそれぞれの業種や、同じ趣味を楽しむ仲間同士が、リング状につながってきました。 今でも私のところへは、アパレルショップや肉屋さんなど、異業種のショップから相互リンクを希望されることがありますが、今時ちょっとなぁと思いますし、そうしたリンクの貼り方をされているサイトさんを見ますと、節操のなさを感じるのは私だけではないと思います。
以前のようにmetaタグでキーワードを隠しても、サーチエンジンはそれを読まなくなってきています。 検索サイトへの登録や掲示板書き込み代行、メルマガ登録などではアクセスアップは望めなくなってきてもいます。
もう2年前の常識が通用しないほど、ネット上は急速に膨らみ続け、今後さらにネットショップ人口が増えていくでしょう。 これまでのような検索ではヒットしなくなってきますし、探す方にしても来てもらう方にしても、今のままでは困りますよね。

ショッピングモールも今のままではやっていけなくなってきます。 実店舗が大型化と差別化の両極に進むのと同様に、ショッピングモールや検索サイトも今後は差別化により、特定の業種やアイテムを探すための細分化が進むと思いますし、そうならなければいけないと考えています。
私も以前はショッピングモールにずいぶん登録していましたが、ほとんど効果はありませんでした。 そうしたところへわざわざ行かなくても、Yahoo!やGoogleで検索した方が早いですし、いいサイトも見つけやすいですから、これからは今あるような、「なんでも揃います」というモールは減って、業種やアイテム別に絞り込んで検索できる、マニアックなモールや検索サイトがもてはやされると思っています。 仲間同士のリングもそのひとつですよね。 その方がいいと思いませんか?

私自身ネットショッピングを結構しますが、ショッピングモールで探すことは絶対にしませんね。 こう言っては語弊がありますが、本当にいいショップはショッピングモールには登録していませんからね。 モールのアクセス数のほとんどは、登録しているサイトさんが訪れた数です。 決してお客様の数ではありません。 言ってみれば、お客様より店員の数がはるかに多いデパートみたいなものですよ。 そんなところに登録したり、出店していたところで効果はないのは当然でしょう。

今後ネットショップを運営する上で、一番の関心事は「ブロードバンド化」でしょう。 ずいぶん整備が進んだようですが、私のように圏外の田舎に住む者には関係ない話で、光ファイバーが来るまでは、ISDNでネットするしかないわけですが、HTMLメールも増えてきましたし、フラッシュムービーを設置しているサイトも、このところ急に増えてきましたね。
それに伴って当然HPのファイルサイズも大きくなり、開きにくいサイトや時間のかかるサイトが多くなってきました。
私がHPを公開してるレンタルサーバーでも、容量をワンランク上げる会社が増えているという話ですが、ISDNしか選択余地のないネット環境にいる者としましては、そうした流れを素直に喜べないわけですよ。 そうしたネットユーザーはきっと多いでしょうね。
ちなみに私はフラッシュムービーはスキップしちゃうか、別のサイトに行ってしまいます。 ダウンロードされるのを待っていられませんからね。

しかし私もサイトに使う画像のファイルサイズを、始めた頃とくらべますと少し大きくしました。 それでも20キロバイトから30キロバイトです。 自分がナローバンドで普段イライラすることが多いですから、大きなサイズの画像を貼り付ける気にはなれませんね。 もっときれいな画像を使いたい気持ちは強いですが、やはりまだ無理だと思います。
日本中でブロードバンドが80%くらいになったら、高画質の画像にしようと思っています。 そうなったらショップ運営はもっと楽しくなるでしょうね。

もうひとつ今私が気になっていることに、県によってネットの普及率に大きな差があるということです。 お客様からのメールやご注文などを総合しますと、これはかなりはっきりと差が現れます。
行政機関がいろいろなアイディアを出して、様々な事業に参画しているような、前向きな地域でのネットの普及率は高く、そうでない地域ではあまり普及していないということが、データとして出ています。
おそらくテレビが一般的になった頃にもそうした差はあったと思いますから、いずれは同じように広まるとは思いますが、ハンドメイドを楽しんでいる方は、全国どの地域にもにいらっしゃるでしょうから、早くネット上で会えるようになるといいなぁ、そう思わずにはいられませんね。

最後に私自身の来年以降についての考えですが、正直に言いましてだんだん感性が鈍ってきている私としましては、作品を作ることができるのはあと3年とみています。
その3年の間に、これまで身につけた技術を結集した作品を2点か3点作って、それで作家としては引退しようと思っています。
来年からは講師として、後進の指導と育成にも力を入れていきます。 そしてひとりでも多くの人にレジンの楽しさを知っていただき、レジンで作品を作るようになって欲しいと考えています。
私はレジンについて誰にも聞くことができませんでしたから、その性質を理解し、技術を身につけるのに10年以上かかってしまいました。 もし10年かかって身につけた技術を、3年で習得できていたら、私はもっとたくさんの作品を、もっと納得のいく作品を作ることができたと思います。
私が得た技術を若い方にすべて伝えれば、感性の豊かなうちに、いい作品をたくさん作ることができるのではないだろうか、ぜひそうあってほしいという気持ちで講師を引き受けました。 私のように、ようやく技術を身に付けたらすでに感性が鈍り始めていた、などということのないように、納得のいく創作をして欲しい、そう願っています。
レジンの楽しさと、その技術を伝えることが私の第二の人生です。 来年はその第一歩となります。