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雑貨人生20数年の想い出、感じたこと、創作を愛する人へのエール といった感じのエッセイです。
雑貨屋KUMAのエッセイ 「雑貨想い出帖」 バックナンバー

   Vol,14〜Vol,59

(14以前は保存してありません)


第56回
「ネットショップ運営マニュアル」
(2004年3月1日UP)

前回は 「実店舗に作品を売りに行くには?」というお話をしました。 今回はネットショップです。 私の考える理想としましては、実店舗への卸しをし、合わせてネットショップも運営する、というスタイルですね。 直接ショップの方や、お客様に接する卸しは勉強になりますし、ネットショップはリアルタイムで、日本中の方に作品を見ていただくことができます。

私がネットショップを始めて、もうすぐ3年になります(2004年3月現在)。 それまではずっとショップへの卸しだけをしてきました。
その間ずっと考えていたことは、こうして自分で営業にまわって商品を売るのでは、どうしても経営に無理がある、ということでした。
安定した収入を得るためには、たくさんのショップに卸さなければいけません。 しかしすべて手作りですから、営業にまわる時間が増えると、作る時間がなくなるという、悪循環が生じるのです。
その悪循環を解消してくれるのが、「ネットショップ」だったのです。 ネット上には距離はほとんど関係ありませんし、24時間営業することができ、しかも経費は極端に安いのですから、商品を販売するにはこれ以上の媒体はないでしょう。

もちろんネットショップを始めるためには、最低限揃えなければならない物があります。
まず 「パソコン」。 当たり前だ。 そして 「プリンター」。 これは必需品です。 そして 「デジカメ」。 それからページを作るための 「ホームページ作成ソフト」。 ただしHTMLで作ろうという方には必要ありませんが。 最後に 「画像処理ソフト」。 これだけあれば始められます。
プリンターは仕事だけで使うのであれば、安い物で十分です。 デジカメは30万画素あればOK。 画像処理ソフトは、もちろんデジカメで撮った画像を、縮小、トリミング、色調調整など加工するのに使います。 私は作品の画像だけでなく、バナーやホームページを飾る素材を作るのにも使っています。
ちなみにスキャナーは必要ありません。 使いそうですが、ほとんど使いません。 デジカメで間に合ってしまいます。

普段人のネットショップを見慣れていて、自分でもすぐに始められそうだと思って、さて作り始めてみるとこれが大変な作業なのです。 とにかく作らなければいけないページが、ものすごく多いのにはおどろきましたね。 見ているだけではわからない、そういう目立たないけれど必要なページが多いのですよ。
そして画像を撮るのも大変でした。 ショップを始めるにはどなたでも、ある程度の作品を作るでしょう。 それを一つ一つデジカメで撮って、画像処理ソフトで縮小したり、色調調節したり、フォルダを作って保存したり、そしてもちろんその画像を一枚一枚ページに貼り付けなければいけませんから、それだけで数週間かかりました。 私は気が遠くなりましたよ。

最近は 「TOP」や「BACK」 などの素材を、「素材屋」さんからダウンロードして使う人や、ホームページ作成ソフトには入っている素材を使う人が多いようですが、やっぱりそれではオリジナリティーを出すことはできませんから、私はすべて自分で作りました。 それがまた大変でしたね。 とにかく 「見てきれいなホームページ」にしたかったので、すべてにコリましたから。
私は本気で商売を考えるのであれば、素材もバナーもみんな自分で作るべきだと思います。 自分で作れば全体のイメージを統一しやすいですからね。
「そんなこと言ったって、ワタシ、パソコンのことよくわからないから」と、おっしゃる方もあるかもしれませんが、私だって3年前にネットショップを始めるためにパソコンを買って、一から勉強したんですよ。 私にはこのネットショップが最後の掛けだったのです。 これがダメなら転職するつもりでしたから、それこそ必死になって勉強しましたよ、半泣きになりながら(笑)
本気で取り組む気があれば、必ずパソコンは使えるようになります。 ご自分の人生のためです。 「わからない」と簡単に投げ出してしまわないで、必死になりましょう。

私は商品の画像を撮るときに、よく虫メガネや老眼鏡のレンズを使います。 最初に買ったデジカメは、30万画素のおもちゃみたいなカメラだったので、近距離での撮影ができず、それで虫眼鏡や老眼鏡のレンズを、カメラのレンズの前にセロテープで貼り付けて撮っていました。 そうした機能がなくても、近距離でアップの画像を撮ることができるのです。
今使っているデジカメには、近距離撮影機能が付いていますが、虫眼鏡や老眼鏡のレンズを使って撮った画像の方がきれいですし、ゆがみも少ないので、今でもよくそうして撮影していますよ。
デジカメは何枚でも撮ることができますから、きれいな画像が撮れるまで、何十回でも撮りなおしましょう。 よくピントの合っていない画像を載せているショップを拝見しますが、ピンボケの画像を見て買っていただけると思います?

商品の画像の大きさやそのファイルサイズは悩むところですね。 特に最近はブロードバンド化が進んでいますから、そうしたネット環境にある人なら重い画像でも苦になりませんが、私のようにISDNや、普通電話回線でネットしている人も、まだまだたくさんいます。 ナローバンドユーザーのことも考えなければいけませんから、商売をするのであれば、あまり重い画像は載せない方がいいと思いますね。
私はファイルサイズ25〜30キロバイト、大きさは長い辺が200〜300ピクセルを目安にしています。 正直に言いまして、もう少し大きな画像で商品を見ていただきたいと思いますが、それはもう少し先のことになりそうです。
画像を保存する時のタイプ(拡張子)は、「jpg」です。 「gif」では画像が荒れてきれいに見えませんよ。

ページのレイアウトや文字のサイズ、色などはそれぞれの好みやお考えがあるでしょうから、特に書くことはありませんが、やはり見やすくなければいけないと思いますね。 ごちゃごちゃしていたり、文章が多すぎたりしますと、ショップの中を見ようという気にあまりなりませんからね。
私はできるだけシンプルに作るように心がけています。 それでもだんだんコンテンツやページが増えてきますと、レイアウトには頭を悩ませますね。 むずかしいです・・・

ネットショップを運営するにあたり、法律上のルールがいくつかあります。 まず 「特定商取引法に基づく表示」を必ず掲載しなければいけません。 よく「通信販売法」と書いているショップがありますが、そういう名前の法律はありませんのでお間違いのないように。
必要事項は「ショップの名前」「運営者の名前」、これは個人の場合は義務ではありませんが、公開した方が信用度が上がります。 公開していないと、お客さんを信用していないように感じますからね。
それから「住所」「電話番号」「販売価格と個数」「商品の代金以外にかかる費用」「商品の引渡し時期」「代金の支払い方法とその期限」「商品の返品の可否とその条件」といったところでしょうか。
私は一度「表示内容が不十分である」と、経済産業省からご注意をいただき、勉強してきちんと書き直しました。 電話番号を記載していないショップさんが多いですが、これは必須項目ですよ。

もうひとつのルール。 ご注文ページでオーダーフォームを使う場合、注文ボタンなどをクリックして、そのまま注文が確定されてはいけません。 必ず注文内容が確認できるように、確認ページを別に作り、確認後に注文を確定するようにしなければいけません。
この件でも一度お叱りをいただきました。 CGIのことがまったくわからなかったですから、設置には苦労しましたが、これもネットショップを運営するためには必須条件です。


さてすべてのページができたらいよいよ公開です。 公開する場所を 「サーバー」と言います。 私は商業用のレンタルサーバーで営業していますが、プロバイダのホームページサービスを利用する方が簡単かもしれませんね。
私はそうしたサービスを利用したことがないので、くわしいことはよくわかりませんが、きっとオーダーフォームやアンケートフォーム、掲示板なども簡単に使えるようになっているのでしょう。
フリーのプロバイダのホームページスペースでの、ショップの営業はやめた方がいいです。 実は私は最初フリーのサービスを利用してショップを始めましたが、ある方に 「信用してもらえないから、ちゃんとした場所に公開した方がいいですよ」と、ご親切にご注意をいただき、それで商業用のレンタルサーバーに乗り換えました。
フリーメールも同様です。

たいていのレンタルサーバーは、速さをうたい文句にしていますが、それは必ずしもあてにはなりません。 日本中を広くカバーしていることを条件に選んだ方がいいですね。 そういった点からも、大きなプロバイダのサービスを利用した方が無難かもしれません。

サーバーにファイルをアップロードするための、「FTPソフト」の設定をして、サーバーにページをアップロードします。 つまりパソコンにあるホームページのファイルを、サーバーにコピーする作業ですね。 それでインターネットで見ることができるようになるのです。
「FTPソフト」は作成ソフトに必ず入っています。 また設定項目はサーバー会社や、プロバイダから指定がありますから、そのとおりにソフトを設定します。 さほどむずかしい作業ではありませんよ。

この時点ですでにホームページのURL、つまりアドレスが決まっているわけですが、独自ドメインを取得した方がいいのかどうか、迷うところです。
私はその必要はないと思っています。 みなさんがショップにアクセスする場合に、URLを打ち込むことってまずないでしょう。 たいていは検索サイトやショッピングモールの、ショップのバナーや店名をクリックして行きますよね。 つまりURLが長かろうと短かろうと、独自ドメインでもそうでなくても関係ないのですよ。 ですから私は無理に独自ドメインを取る必要はないと思いますね。 ことに 「日本語ドメイン」などはなんの意味もありません。
しかしURLが表示される場合、フリーのサーバーのURLはすぐわかりますから、やはり集客に影響しますね。


いよいよネットショップの開店です。 が、当たり前のことですが、宣伝をしなければだれも来てくれません。 ではどうやって自分のショップを知ってもらうか。 まず検索サイトへの登録ですね。 いろいろありますから、自分のショップと関連性の高い検索サイトに登録しましょう。 ただし登録をしたからといって、すぐにたくさんの人が来るようになるほど世の中は甘くありません。
次にショッピングモールですが、私の経験ではあまり効果ないですね。 登録しないよりはした方がいいかもしれませんが、過度の期待はしないように。
また相互リンクやリングも多少は効果ありますが、最近は社交儀礼的な意味合いが強いような気がしますね。

それから 「メルマガ一括登録」や、「掲示板書き込み代行」などはまったく効果ありません。 ないどころかかえってイメージを悪くしますからやめましょう。
登録したショッピングモールや検索サイトに掲示板があれば、マメに自分で書き込みをします。 とにかくマメで辛抱強くないと、ネットショップは運営できませんね。 日々の地道な宣伝を、少なくとも1年以上続けることが必要ですよ。
(余談ですが、HTMLソースの中に、「METAタグ」でキーワードを入れても意味ありませんよ。 効果があったのは昔の話です。 今のサーチエンジンはそうしたキーワードを無視しますからね)

しかし人気のある検索サイトやショッピングモールは、もうすでに飽和状態で埋もれてしまいますから、より効果をあげるためにはバナーCMを出します。 どこに出しても効果があるかというとそんなことはありません。
バナーサイズが小さかったり、表示される場所が目立たなかったり、そのサイトへのアクセス数が1000以下だったりすると、まず効果はありません。 有料だから効果があるだろう、と思ってはいけませんよ。
ですからバナーCMを出すのであれば、よくそのサイトのことを調べてからにしましょう。 アクセスアップのためには投資はさけられませんが、無駄に使ってもしょうがないですからね。

バナーCMを出したからといって、それで安心してはいけません。 そのサイトからどのくらいのお客さんが来ているのか、毎日ログを見ることをお忘れなく。 つまりこうしたログ解析機能やサービスも、ショップ運営には必要だ、ということです。
効果のないサイトに、いつまでもバナーを出していたところでお金の無駄です。 ほかのサイトに乗り換えましょう。

また、お客さんに来ていただくことだけを考えていてはいけませんね。 絶えずショップに手を入れて、少しでも見やすく、少しでもおしゃれなページにすることが必要です。
ここでもマメに、です。 2、3ヶ月も更新していないショップで、商品を買おうなどとはだれも思いませんからね。 絶えず更新していることが、営業しています、という印なのです。
私が平日毎晩日記を書いているのもそのためです。 どこか一箇所でも、いつ来ても変わっているところがないと、飽きられてしまいますからね。

これも同じことなのですが、掲示板への書き込みの有無とメールのチェックは、1日に数回は必ずしましょう。 当然のようですが、あまりメールチェックをしないオーナーさんって、意外と多いようですね。
メールを出して返事がくるまで、2日も3日もかかるようなショップでは、怖くて買い物などできません。 サイトがとてもおしゃれでも、こうしたマメな対応ができなければ、運営する資格はありませんよ。 お客さんの立場に立って営業していない、ということですかね。

初めて注文があったときの嬉しさは、今でも忘れられません。 ネットショップを始めて3ヵ月後のことでした。
ご注文をいただいたら、すぐにメールをお出しして、お届け日、時間帯をお知らせすることを忘れてはいけません。
商品には「使用上の注意」をプリントして入れておくといいですよ。 そして丁寧に梱包して、すみやかに発送しましょう。 できるだけお待たせしないようにしましょうね。

私が商品と一緒に入れているのは、「使用上の注意」「納品書兼請求書」「郵便振替口座の払込用紙」(口座番号と名前が印刷された物)「銀行口座番号を記した用紙」です。 ですからプリンターは必需品なのです。
最近はネットバンクを利用される方が増えましたから、そうした銀行にも口座を設けた方がいいですね。 ネットバンクはとても便利です。
あ、それから代金を後払いにするか先払いにするか。 当然後払いにするべきです。 お客さんが信用できないのであれば、ショップを運営してはいけません。 「商品を送ってお金を払ってくれなかったらどうしよう」、そうお考えになるかもしれませんが、それはお客さんだって同じ思いなのですから、商品を先にお送りするべきです。

華やかでだれでも簡単に始めることができるネットショップ。 その中で生きていくために必要なのは、商品にもサービスにも、ほかのショップにはない独自性を持つこと。 そしてマメに更新、宣伝、対応をすること。 それ以外にありませんね。
1000分の1の人気ショップになるか、999の中に埋もれるかはそれにかかっています。 今現在 「アクセス数が伸びない」となげいてる方も多いと思いますが、ただ待っているだけでは埋もれたままですよ。
私も1000分の1になれるように、毎日がんばっています。 最初に設定した一日の平均アクセス数の目標があります。 今ようやくその半分にまでなりました。 目標に達するには、まだあと2、3年かかりそうですが、自分のため、家族のために必死に運営をしています。

私のサイトをうらやましく感じる方もあるかもしれませんが、始めた頃はアクセス数が毎日「0」でした。 だれだってゼロから始まるのです。 ネットショップ成功には近道はありません。
みなさんもがんばってくださいね。 がんばっていれば必ずいいことがありますよ。 とにかくネットショップの運営は大変ですが、でも楽しくてとてもエキサイティングです!