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雑貨人生20数年の想い出、感じたこと、創作を愛する人へのエール といった感じのエッセイです。
雑貨屋KUMAのエッセイ 「雑貨想い出帖」 バックナンバー

   Vol,14〜Vol,59

(14以前は保存してありません)


第27回
「ネットショップを始めてからの一年半を振り返って」
(200212月16日UP)

今回は今年最後の更新ということで、ネットショップを運営してきて感じたことや思ったこと、考えたことなんかを書いてみましょう。 これからネットショップを始めようと思っていらっしゃる方に、参考になると思いますよ、たぶん。

私がこのネットショップを始めたのは2001年の6月の末でした。
これまで何度も書いてきましたとおり、私はそれまでインターネットはおろか、PCに触ったことさえありませんでした。 そんな私がネットショップを始めようと思い立った背景は、卸し業での完全な行き詰まり状態で、廃業して転職するかネットショップを開くか、もうどちらかしかなかったからなんです。

ネットショップを意識するようになったのは1999年頃でしょうか。 テレビCMで「e−コマース」という言葉を知ってからでした。 インターネット上では距離は関係ない、ということが一番の魅力でしたね。
それでもPCは大嫌いでしたから、決断するのに1年かかりましたよ。 そりゃそうですよねぇ。 すべて一から揃えるとなると、かなりなお金をつぎ込むことになりますから、「うまくいかなかった」ではすみませんからね。 思い切るには結構勇気がいりました。

しかしこのまま卸し売りを続けていてもジリ貧でしたから、もうやるしかなかったんです。 ですが、まったくわからないことだらけですし、とてもうまくいくとは思えませんでしたから、正直にいいまして怖かったですね。 私の人生、家族の人生がかかっていた、といっても過言ではない状態だったんです。

まずはPCやプリンター、スキャナーを買い、次いで山のように本を買ってきて勉強を始めました。 それこそスイッチの入れ方から始めたんですよ。(当初はデジカメなしでした) 
わからないからといって最初から人に聞いたり、手伝ってもらっては覚えられないと思ったので、本を片手に毎日PCと格闘しました。 文字通り「格闘」でしたね、私には。
メールができるようになるのに3週間かかりました(笑)。 だって本を読んでも書いてある意味がわからなかったですから、もう半泣きですよ、「わからないィ〜〜〜〜・・・・」って。

いろんな本や雑誌をみて、ネット上にはフリーのサービスがたくさんあることを知りました。 倹約家(ケチ?)な私は「フリーのサービスでネットショップをやろう」と思いました。
プロバイダもメールもフリー、HPもマイクロソフトWordで作り、サーバーもフリーのサービスを利用してネットショップをやろうと考えて、実際にそうしたんです。

3月からHPの製作を始めました。 当初は3週間くらいあればできるだろう、なんて気楽に考えていましたが、実際に作ってみるとそんな甘いものではありませんでしたね。
1ヶ月があっという間に過ぎ、2ヶ月も瞬くうちに過ぎ、3ヶ月かかってようやくすべてのページが完成しました。 それで先程書きましたように、6月からフリーのサーバーでネットショップの営業を始めました。

怖いもの知らずの私は最初から有名なサイトさんに相互リンクを申し込みました。 3ヶ月間ずっとサイト作りをしていたので、自分のサイトを客観的に見ることができなくなっていたんですね。 今思うと図々しいもんだと思いますよ。 その時の私のサイトはそれはそれはひどいもんでしたから(笑)

申し込みをしたサイトさんの中の 「Interior Goods Shop」のオーナー、ニッシ−さんからメールがきました。 それはとても親切なメールで、私のサイトをつぶさに見てくれた上で、いろいろなアドバイスをしてくれたんですね。
まず、レイアウトが崩れていること、ちゃんと商売として運営するのなら、フリーのサーバーでなく、商用のサーバーにした方がいいこと、独自ドメインを取得した方がいいことなど、詳しく教えてくださいました。

ありがたかったですねぇ、ホントにありがたかったですよ。 なにしろWordで作るとレイアウトが崩れることを知らなかったですし、商用のサーバーがあることも知りませんでしたから。
それで家電量販店のインターネットコーナーに行って、自分のHPを見てみました。 びっくりしましたよ!ぐっちゃぐちゃだったんですから(大笑)
すぐに帰ってHTMLの勉強を始める一方、商用サーバーを探し、独自ドメイン取得の手続きをしました。
ですからニッシ−さんは私にとりまして、大恩人なんですよ。 この方にめぐり合わなかったら、私のネットショップは軌道に乗るまでもっと時間がかかったでしょうね。 本当にありがたいと思っています。

3ヶ月かかってようやくスタートしたと思ったら、また最初からやり直しになってしまったわけですが、とにかくその時は必死でしたから、大変だ、などと思う余裕すらなかったですね。
HTMLソースを編集をして、なんとかレイアウトの崩れを直し、サーバーもレンタルし、Amazingの自社ドメインも取得したから、もうこれでいいだろうと思ったのですが、やっぱりダメだったんですね。

友人やお客さんから「見にくい」ですとか「レイアウトを変えた方がいい」ですとか、いろんなご意見をいただき、結局WordではHPは作れない、作ってもちゃんと表示されないことがわかったんですね。 ショップを始めて4ヵ月後のことです。
それでついにWordでのHP製作をあきらめて、友人から「ホームページビルダー」を借りてすべてのページを作り変えることにしました。 その時すでに60ページくらいありましたから、それは根気のいる大変な作業でしたよ。

毎日毎晩、少しずつ変えてはアップし、変えてはアップしていき、11月下旬にすべての作業を終わりました。 終わった時にはホントに疲れましたね。
あ、そうそう当初私は「Windows Me」で運営をしていたんですが、あれはダメですね。 画像の編集をしていると、すぐにリソースの空き領域が少なくなってフリーズしちゃうんですよ。 もう全然仕事になりませんでした。
結局ビルダーを入れるときに「2000」にしました。 ネットショップの運営はNT系でないとダメですね。

そんな有様でしたから、ショップを始めてから4、5ヶ月間はほとんど注文がありませんでしたし、お客さんからメールが来ることもまれでしたよ。 その間私がどんなにつらかったか、どんなに不安にさいなまれ、日々の運営と宣伝に奔走していたか、おわかりいただけると思います。 つらかったですよぉ。

しかし私にとってつらさは別にネットショップを始めたからではなく、その前からずっとつらかったわけですから(自慢になるか!)、完全に絶望していたわけではなく、それまでの経験で、努力を積み重ねれば必ず道は開かれることを知っていたので、毎日ログを解析し、有効な宣伝とやっても効果のない宣伝を、ひとつひとつピックアップしいく作業を繰り返していきました。
それはまるで小さな石を積み上げる作業にも似た、地道で単調でしかもとても面倒なものでしたよ。

そんな地道な作業を繰り返しているうちに少しずつお客さんからメールが来るようになり、注文も入るようになってきました。 それはショップを始めて半年くらいたった頃のことです。
つまり2001年はほとんど商売にならずに終わってしまったわけですね。 情けない話ですが、また親に援助してもらうしかありませんでした。

2002年になってアクセス数も毎月毎月順調に増え、ご注文も徐々にいただくようになっていきました。 もちろんその間もログの解析をし続けましたよ。 続けたからこそ、少しずつでもサイトを知っていただけたわけですからね。 それは今でも同じことです。 とにかく地道な努力の積み重ねが何より大切だ、ということでしょうね。 私はそう思いますよ。
最近になってようやくこのネットショップという商売でやっていくめどが立ちました。 もっともまだ確信はできませんがね。


この1年半のショップ運営で感じたことは、今後のネットショップを取り巻く状況は、必ずしもいいとは言えないということ、そして趣味としてやっていくのならいいのですが、商売としてやっていくことは非常にむずかしくなるだろうということですね。
ネット上には「趣味のサイト」と「商業サイト」との境がありません。 誤解のないように書いておきますが、私は趣味のサイトをおやりになることには大賛成ですし、たくさんの人にその楽しさを知って欲しいと思っているんです。
問題なのは「境」がないことなんです。 もちろん売るものの良し悪しがその「境」を決めるわけですが。
「そんなことはない。有料の大きなショッピングモールとかあるじゃないか」と言われる方もあるかもしれませんが、それとても同じことなんですよ。 有名なモールに出店しているからといって、いい物を売っているわけではありませんからね。 ちなみに私は出店する気はありません。 なぜならダサいから。

少し前には独自ドメインがステイタスになりました。 日本語ドメインなんてものも出てきましたが、最近ではあまりそういうことにこだわらなくなってきましたね。 それよりもバナーのほうが大切になってきました。 なぜならショップに行く場合バナーをクリックして行くことがほとんどとなり、URLを入力することなどなくなりましたからね。 URLなんて長かろうが、独自ドメインでなかろうがどうでもよくなってきたんですよ。
つまりそれだけ自分のサイトの独自性をアピールする機会が少なくなりましたから、目立ちにくくなったわけなんですよ。

もうひとつ注目しなくてはいけないことに、「ブロードバンド」がありますね。 ブロードバンドユーザーは全体の50%を超えたでしょう(私は山に暮らしていますから当分はISDNです・・・)。
ネットショップで一番重要なのは「画像」ですよね。 その画像のサイズもこれからは大きなものが載せられるようになっていきますが、今はまだ時期尚早だといえるでしょう。 なぜなら私のようにISDNユーザーや、普通電話回線ユーザーもたくさんいらっしゃいますからね。
このあたりの見極めも今後の課題だと思っています。

毎日数百数千のショップが生まれているのでしょう。 今ネット上にはどのくらいのショップがあるのでしょうか。 その膨大のショップの中から自分のショップに来ていただくことは、砂漠の中から針を見つけてもらうようなもので、これは今後さらにむずかしくなっていくでしょうね。
私自身その砂漠の中に埋もれてしまわないように、これからも日々ログを解析し、これまで以上に地道に宣伝をしていかなくてはいけないと思っていますよ。

ネットというものがもう日常のものになったと言ってもいいでしょう。 これからはもっと必要不可欠なものになっていくことは明らかです。 その中で生き残っていくのは大変だと思いますが、私はがんばりますし、みなさんもぜひがんばって欲しいと思います。
なんにせよ、お客さんの立場に立った運営と、地道な作業の繰り返し、それしかありませんね。