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雑貨人生20数年の想い出、感じたこと、創作を愛する人へのエール といった感じのエッセイです。
雑貨屋KUMAのエッセイ 「雑貨想い出帖」 バックナンバー

   Vol,14〜Vol,59

(14以前は保存してありません)


第41回
「レジン成型の可能性」
(2003年7月16日UP)

最近レジン(樹脂)成型に、関心を寄せる方が増えているように思います。 私のこのつたないサイトへも、毎日たくさんの方が来てくださいます。 アクセス数は昨年に比べて3倍になり、とてもありがたいことだなぁと思っています。
これは別に私が急にすごいことを始めたわけではないので、それだけレジンに対しての関心が高まっていると、考えていいのではと思うのですよ。

レジン成型にもいろんな種類がありますよね。 例えばドールハウスやミニチュア、ドールアイ、フィギアー、造型、雑貨、アクセサリー、小物などなど。
「へぇーそういうことにもレジンって使えるんだ」と、長年レジンを扱っている私が、初めて知ることもあります。 そうした多様性が、レジンのおもしろさのひとつであることは間違いないでしょうね。

それではそれぞれに扱い方や、作業の仕方が変わるのかといいますと、それはほとんど変わらないんですね。 レジンで成型する、ということではどれも同じなんです。 ただでき上がる物の形が違うだけですね。
ですからミニチュアを作れる人は、アクセサリーも作れるわけですし、アクセサリーを作れる人は、雑貨も作れます。 雑貨を作れる人は、フィギアーも作れ、フィギアーを作れる人は、ドールハウスも作ることができるのです。
私のところへはいろんなジャンルの方から、毎日たくさんのご質問メールが届きます。 ですが作る物は違っても作業は同じですから、どんなご質問にもお答えすることができるのですよ。

でも実際にはたいていの方が、ひとつの物だけしかお作りになりませんよね。 ミニチュアならミニチュアだけ、といったように。 もちろんひとつのことに夢中になるのはとても素敵なことです。 それほどおもしろいということでもあるでしょう。
しかし私はそれだけではもったいないような気がしてしまうのですね。 作る物を変えるのではなく、もっといろんなこと、いろんな作品に挑戦して欲しいのです。
「その技術でアクセサリーなんか作ってみたら?」 「それだけ作れるんだから、時計とか小物入れとか作って、友達にプレゼントしてみたら?」 「そんなにすごい物が作れるのなら、もう一歩踏み出して商売にしたら?」、そう思うことがしばしばです。

私がよく言うことですが、身のまわりにあるもの、例えば携帯電話ですとか、PCですとか、テレビ、オーディオ、炊飯器、電灯のかさ、プランターなどは、種類は違いますが、みんな樹脂製です。
こうした樹脂製品も、作り方はミニチュアやフィギアー、雑貨と同じなんですね。
型に流し入れて成型し、取り出したあとでバリを削って仕上げるのですから、同じなんです。
ですからその気になれば家中の物を、ご自分で作ることができるんですよ。 もちろんコストは高くつきますが、技術的には可能なんです。 レジンというのはそういう物なんですね。 私は以前タンスやテーブルを作ろうと考えたことがあります。 当然コスト高のため断念しましたが、技術的にはキーホルダーを作るのと変わらないんです。

私がレジンを知って、レジン作品を販売するようになった頃は、「レジン」も「樹脂」も言葉としてまったく通じませんでした。 「松やにを固めてなにか作るのか?」と、言われたこともあります。
それから10数年たち、様々な樹脂が少量で販売されるようになりました。 つまり売れるから商品として作るわけですね。
私はいつかはそうなるだろうと思っていました。 先見の明があったわけではなく、レジンを扱ってみた実感として、その多様性とおもしろさが、物を作る人たちの間に広まっていくのが当然だと思ったからです。
私が考えていたよりも、少し広まるのが遅かったですが、それでもこうして大勢の方がレジンに興味を持ち、ご自分で作ってみるようになったことは、とても嬉しく思いますね。

レジンが一般に広まらなかった背景には、まず第一に手に入りにくいことがありました。 どの街にも東急ハンズがあるわけではありませんからね。 見る機会がなければ、そうした素材を知ることもできませんしね。
もうひとつには、売っていても使い方がわからなかった、ということもありますね。 店員さんに聞いても、彼らは自分で使ったことがないから、質問に答えられないんです。 使い方のわからない物を買う気にはなりませんよね。
こうした問題をネットが解決してくれたわけです。 ネット上なら距離に関係なく買い物ができますし、こうして使い方、作品の作り方を紹介する物好きもいますからね(笑)
ネットの普及に歩を合わせて、レジンが一般に広まったわけです。 すごい技術ですよね。

PCの保有率が高くなり、多くの方がネットを楽しむようになると、いろんなサイトでいろんな物を見ることができるようになります。 そうすると「私もやってみたい!」 「自分にも作れそう」と、お思いになり、それがこのところの物作りへの関心の高さ、ひいてはレジンへの興味が高まってきている背景だと思います。
つまりようやくレジンという素材が市民権を得た、ということでしょうね。 おそらくこれからもっともっとレジンを扱う人は増えていくでしょう。 そうなることを願っています。

しかしまだ市民権を得た、一般に知られるようになってきた段階ですから、先ほども書きましたように、ジャンルを超えていろんな作品を作る人は、まだまだ少ないですね。
例えばひとつのネットショップの中に、ミニチュアのページがあり、雑貨やインテリアのページがあり、アクセサリーのページがあって、しかもその上にパックやTシャツ、ぬいぐるみまで作ります、なんて人がいたら素敵だと思いますね。
バックの飾りやボタンもご自分で作り、ぬいぐるみの眼もレジンで作っちゃう人。 もちろんレジンにとらわれず、様々な素材を自在に操る人、そんな人がたくさん出てきたらいいですよね。

レジンだけで作品を作ることにこだわることはないと思います。 同じようにひとつの素材だけしか使わないというのも、なんだか変な気がします。
料理を作るときに、醤油や酒、みりんや砂糖、塩などで味を整えるのと同じように、いろんな素材を自由に使っていいんじゃないかなと思っています。 
そうした使い方の中で、レジンは主役にもなれますし、ご自分で自由に形作ることができますから、素材と素材を結ぶ、蝶番のような使い方もできるのですね。 その多様性、可能性は、扱う人のアイディア次第で、無限に広がると思います。

シリコンで型を取り、たくさん成型するのもよし、また「Let’s make!」にありますように、型を使わないで、一つの素材として使うのも楽しいです。
成型後に熱でやわらかくして、形作ることも可能ですし、削ったり、切ったり、穴をあけたりすることもできます。 しかも扱い方はとても簡単で、特に専門の道具もいりませんから、どなたでもすぐに始めることができます。
私が作品を作るのに使っているレジンも、みなさんがお使いのものと同じです。 作業の仕方も「Howto〜レジン教室」に書いてありますから、私が作る作品は、みなさんにも作ることができるわけですね。 もちろんコツはありますが、技術的にはそれほどむずかしいことではないのですよ。

今後レジンで作品を作る方が、もっともっと増えるといいと思っています。 そしてできれば私を脅かす、ライバルになって欲しいと思いますね。 もちろん勝ち負けではないですが、レジンの楽しさを、ひとりでも多くの人に知っていただきたいと思っています。 そのためにこれからも、サイトをより充実させていこうと考えています。