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雑貨人生20数年の想い出、感じたこと、創作を愛する人へのエール といった感じのエッセイです。
雑貨屋KUMAのエッセイ 「雑貨想い出帖」 バックナンバー

   Vol,14〜Vol,59

(14以前は保存してありません)


第47回
「だれだって自信を持っていいんです」
(2003年10月16日UP)

私のサイトにおいでくださる方で、「不器用だから、うまくできるかどうか・・・」という方がたくさんいらっしゃいます。 もちろん謙遜で言われる方もいらっしゃるでしょうけれど、本気で「不器用だから・・・」と思っている方も多いと思います。
実は私も不器用です。 そりゃ一応プロですから、一般の方よりは器用です、と言いたいけれど、そう言えないですね。 自分でもイヤになるほど手が思うように動いてくれません。
粘土で原形を作るのが苦手で、ですから時間がかかってしまうのですよ。 石膏粘土で人形を作る人がいますが、そういう人がうらやましいですね。 うらやましいを通り越して、ねたましいですよ(笑)

それでは「うまくできないなぁ」と思いながら作った作品、私の手から生まれた作品が嫌いかといいますと、そんなことはないですね、やっぱりかわいいですよ。
過去の作品を見てうんざりすることも多いですが、それは自分にうんざりするのであって、作品のせいではありません。
たしかに以前作った作品を見たり、写真を見たりするのはあまり好きではありません。 それはその作品がイヤなのではなく、その時の自分を思い出すからでしょうね。 その時の自分の技術を思い出して、買ってくださったお客様に対して冷や汗が出たり、申し訳なく思ったりします。
そういう感情を抜きにして作品を見た場合、やっぱり自分の手から生まれた物ですからね、いとおしく感じますよ。
私は人の作品と自分の作品をくらべることはしません。 ですから「あの人の作品にくらべて、自分のはダメだ」とは思いませんね。 人は人、自分は自分ですから、やっぱり自分の作品は(売れない作品でも)かわいいですよ。 商品としてはダメな作品もありますが、愛着はそれとは別です。
私は自分の作品が大好きです。 自分の分身であり、苦労を共にしてきた友人でもありますね。

こういう気持ちは物作りをする人であれば、だれしもお持ちだと思います。 みなさんもご自分の作品はかわいいんじゃないですか? たとえ形がいびつでも、いとおしくっていとおしくってたまらない、そう思いません?
自分ひとりでご覧になっている時はそう思っていても、さてほかの人の作品を見た時に、自分の作品とくらべたりしていませんか?
「あんなふうに作れるようになったらいいなぁ」と、向上心を持つのはいいことだと思いますが、「あの人のにくらべて自分のはダメだ」、そう思うのはよくないですよ。

義務で作っているのであれば、そういう感情がおきてもしょうがないかもしれませんが、みなさん好きで作っていらっしゃるわけですから、なにも人とくらべて「ダメだ」なんて思う必要はないんです。
「あの人の作品、素敵だなぁ。 でも私の作品もかわいいなぁ」、それでいいんです。
もちろん前にも書きましたように、商品として売れる売れないは別ですよ。 でも何もないところから生まれたわけですから、その人の手のぬくもり、愛情は十分にこもっているでしょう。 そういうことが大切なんですよね。 別に作品に点数がつくわけではなし、だれかに叱られるわけでもないんですから、人とくらべないで、もっと自分自身に、自分の作品に自信を持っていいと私は思うのです。

人として謙虚であること、謙遜であることは必要でしょう。 でも自分を卑下するのはよくないです。
不器用=ダメ、ではありません。 そういうマイナスな気持ちは捨てましょう。
不器用=でも好き、そんなふうに前向きな姿勢で、新しいことや作品作りに挑戦した方が、きっと楽しいと思いますよ。
失敗=ダメ、でもありません。 失敗=いい経験、なんですよ。 ですから「失敗したら恥ずかしい」ですとか、「うまくできなかったらどうしよう」なんて思う必要もないんです。 「あ〜ぁ、失敗しちゃった。 いい勉強になった」、それでいいんです。 人に迷惑をかけるわけではないんですからね。 いいじゃないですか、べつに。

前に「子供たちをほめてあげましょう」ということを書きましたが、自分に対しても同じですよ。
「ヘタだからヘンな作品しかできない・・・」と、思わずに、「ヘタだけどかわいいじゃん!」「うまくできないけど楽しいね!」、そう思った方が上達も早いと思いますし、作品も輝いて見えるでしょうね。
マイナスな感情からはいい物は生まれません。 前向きな明るい気持ちを持つこと、そして楽しむことですよ。

レジンに限らず、どんな物作りでも楽しいですよ。 興味を持ったらやってみた方がいいと思いますし、やればなにかしら必ず自分にとってプラスになるもんです。
「不器用だからうまくできないかも・・・」と、見ているだけでは時間がもったいないです。 まずはなんでもやってみる、やってみて自分に向いていなかったら、ほかのジャンルの物作りをすればいいんです。 やってみなければ楽しいかどうかもわかりませんしね。 興味を持ったらとにかくやってみる、これが私の人生観です。

私はとてもおっちょこちょいですから、仕事をしていましても失敗することが多いです。 グラスフラワーを作っていて、ワイングラスを倒してレジンをこぼしちゃったり、エポキシレジンの主剤と硬化剤を計量して、電子レンジで温めたら熱くなりすぎて、あわてて扇風機で冷ましたり、主剤と硬化剤のふたを取り違えてしめて、ふたがくっついてしまったり、足にカッターナイフを突き刺してしまったり、2週間がかりで作った原形を落として壊しちゃったり、ラッカーを吹き付けた作品を蹴飛ばしてしまったり、「完成した!!」と、持ち上げたとたんに手が滑って・・・一からやり直したり、いろんな失敗を日々繰り返しています。 が、それを失敗だとは思いません。 「作業のコツをひとつ覚えた」、そう思っています。 負け惜しみではなく、本当にそう思うのですよ。 ですから不器用でおっちょこちょいでも、物を作るのは仕事に限らず楽しいですし、大好きです!

私は自分の作品が、社会的に見て必ずしもいい作品だとは思っていません。 そんなことはどうでもいいんです。 なぜなら作るのが好きだから。 売れないのは困るけど、作るのが楽しいんですからいいんですよ。
作家として売れたい、有名になりたい、世界に進出したい、そんな考えは微塵もありません。 そんなことに興味はありません。 好きな物作りができればそれでいいんですよ、私は。
作りたいと思って作った作品がいとおしいです。 ですから胸を張ってみなさんに見ていただいています。 そうでないと作品たちがかわいそうですからね。
みなさんも胸を張ってご自分の作品を自慢してください。 何もないところから生まれた、世界でただひとつ、あなただけの作品なんですから、自信を持って、胸を張って自慢していいんですよ!