ここではポリウレタンレジンは平泉洋行の 「ハイ−キャスト」、エポキシレジンは I TWパフォーマンスポリマーズ&フルイズジャパン社製の
「注型用高透明エポキシ樹脂(通称 デブコンET)」 を使用した場合の説明になっています。 他社製品とは混合比や扱い方に多少違いがあります。
1 ポリウレタンレジンの成型と注意点
レジンを成型するというと、なにかむずかしい作業を想像されるかもしれませんが、実は簡単なんです。 主剤と硬化剤を混ぜ合わせてシリコン型などに流し込み、あとは固まるのを待つだけ、つまりゼリーを作るのと要領は同じです。 主剤はジュース、硬化剤はゼラチンと考えていただくとわかりやすいと思います。
ポリウレタンレジンはいろいろあるレジンの中でも扱いやすいタイプで、主剤と硬化剤の混合比が1:1とわかりやすく、混ぜ合わせて型に流し入れるとわずか数分で硬化します。
成型前にレジン自体を染めることも、成型後に着色することもできます。 あまりに簡単に成型品を作ることができるので、きっと驚かれると思いますよ。
はじめにご注意・・・
ポリウレタンレジンは湿気を吸いやすいですから、雨の日など湿度の高い日は成型をしない方がいいでしょう。
湿気を吸ったポリウレタンレジンは、成型すると気泡ができてきれいに仕上がりません。 このように劣化してしまった場合はウレタン樹脂専用脱水剤を添加すると、ほぼ元通りになります。
透明エポキシレジンは湿気によって劣化することはありませんから、雨の日にでも成型することができます。 ただし取り分けたらすぐにふたをして、開封後はできるだけ早めに使い切った方がいいでしょう。
シリコンはもともと水分を含んでいますから湿度を気にすることはありません。 いつでも型取り作業をすることができます。
・・・以上のことに気をつけ下さいね。
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レジンを流し入れる前にシリコン型に水を入れてその量、あるいは重さをはかり、それをレジンの分量の目安にします。 その分量、重さを2で割った数が主剤と硬化剤の量です。
大きい成型品を作る場合、つまり混ぜ合わせるレジンの量が多い場合は、主剤と硬化剤の混合比に多少誤差があっても硬化しますが、小さいもの、レジンの量が少ない場合(50ml以下)は誤差が大きくなりがちで、あまり誤差が大きいと硬化不良を起こすことがあります。
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デジタルはかりをお持ちであればいいのですが、普通のはかりの場合、あるいははかりをお持ちでない方は、同じ計量カップを2つ使うと比較的正確にはかるかことができます。
左の図のように、2つの計量カップに主剤と硬化剤を同じ量入れますと、はかりがなくても1:1の比率をはかることができます。 (私としましては、デジタルはかりで正確に計量することをおすすめします)
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ではなぜカップの目盛りで分量してはいけないのかといいますと、残念ながらカップによりましては正確でないものがあるからです。 たとえ正確であっても、表面張力によって液体がカップの内側で盛り上がり、目盛りが読みにくく誤差を生じやすいのです。
もちろんこれは絶対に、というわけではありません。 目盛りで計量してもちゃんと固まる、正確なカップもありますから。
注意!
レジンが手につきますと、体質によりましては肌が荒れたりかぶれたりすることがありますので、必ずビニール手袋などをお使いください。 また、作業中は必ず換気をしてください。
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1:1に分量したら主剤に硬化剤を入れます。 主剤は少しとろっとしているので、硬化剤に主剤を入れますと、主剤がカップに残って混合比に誤差が生じてしまいます。
ひとつのカップで計量した場合は、そのまま混ぜ合わせます。 |
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かくはん棒でよく混ぜ合わせます。 あまりゆっくり作業をしていますと硬化が始まってしまいますから、混ぜ合わせる時間は、だいたい5〜10秒を目安にするといいでしょう。 |
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シリコン型に流し入れます。 型の表面に気泡が付いてしまった時は、爪楊枝などで取り除きます。 また全量入れたあと、レジンの表面に気泡が浮いた場合も、つぶすか取り除いておきます。 残しておくと泡がそのまま硬化してしますことがあります。
注意!
ポリウレタンレジンは硬化時に気化ガスが発生しますから、顔を近づけないようにしてください。 |
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レジンの量や気温にもよりますが、数分で完全に硬化します。
レジンとシリコンの接点(矢印の部分)が最後に硬化しますから、この部分が固まったら取り出しても大丈夫ですが、あわてて失敗するより少し長めに時間をかけたほうがいいでしょう。
注意!
レジンは硬化時に熱を発します。 レジンの量が多い場合は、かなり熱くなることがありますのでご注意ください。 |
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硬化したらシリコン型の裏を軽く押すと簡単に取り出せます。
注意!
上の図の矢印の部分は、バリがナイフのように鋭利になっていることがありますので、手を切らないように気を付けてください。 この部分は取り出したあとでカッターナイフで切り取ります。 |
2 エポキシレジンの成型と注意点
エポキシレジンの混合比は主剤2:硬化剤1です。 このレジンはポリウレタンレジン以上に分量を正確に計らないと硬化不良を起こしますので、デジタルのはかりで計量されるのが望ましいと思いますよ。 レジンは高価ですから、なるべく無駄にしたくありませんからね。 |
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主剤は水あめのようにどろっとしています。 そのままでは混ぜにくいですから、ドライヤーなどで温めます。 温める目安は水ぐらいにさらっとなるまでです。 私は電子レンジで5〜10秒程度加熱しています。 秒数は機種やワット数によって変わりますので、短い時間からお試しになってくださいね。 |
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温まったらゴムヘラでなるべく気泡を巻き込まないように、ゆっくりと混ぜ合わせます。 計量カップの内側をこそげとるようにして、均一になるようによく混ぜ合わせてください。
エポキシレジンは硬化時間が長いのであわてることはありませんが、温度が下がってくると混ぜにくくなります。
ゴムヘラで混ぜた時に透明の筋ができなくなったらOKです。(透明な筋は混ぜ合わさっていない主剤です)
温度が下がって混ぜにくくなったら、温めすぎに十分注意しながらもう一度ドライヤーなどで温めてください。 |
あとの工程はポリウレタンレジンと同じです。 ただし硬化時間は長く、取り出せるようになるまで1〜3日かかります。 表面が硬化しているようでも、取り出したあとで徐々に形が崩れてくることがありますから、少し長めに時間をかけるようにした方が間違いがないでしょう。
レジンは乾いて固まるのではなく、化学反応によって硬化しますから、熱反応が起きやすい夏は硬化が速く、冬は遅くなります。
固めるレジンの量と気温と硬化時間の相関関係については、次のようになっています。
★エポキシレジンの硬化時間が遅くなるケース
1、レジンの量が極端に少ない場合。 例えば2〜3グラム程度の量の場合、あるいは1〜2ミリ程度の薄さの場合。
2、冬季や地域性などによって、気温 (室温) が10度以下になる環境。 気温が低いとレジンの化学反応が起きにくくなるので、硬化時間が長くなります。
3、一度に流し入れる量が多くても、固める形状が薄い場合、または細長い場合は化学反応が起きにくいため、硬化時間が遅くなります。
例えば一度に100g流し入れるとして、形状が立方体の場合は硬化時間は速まりますが、薄い場合、あるいは細長い場合は硬化時間は長くなります。
★エポキシレジンの硬化時間が速くなるケース
1、レジンの量が多い場合。 ただし、エポキシレジンは一度に大量に硬化させますと、化学反応が急激に進んで発熱してとても危険です。 立方体などひとつのかたまりとなる形状の場合は、一度に固められる量はおおよそ150g程度とお考えください。 (気温が20度以上の場合は、150g程度でも化学反応が進む場合があります)
形状が薄い場合、細長い場合は150g以上でも大丈夫です。
2、夏季や地域性などによって、気温 (室温) が25度以上になる環境。
3、一度に流し入れる量が10〜20g程度と少なくても、固める形状が立方体や球体など、ひとつのかたまりとなる形状の場合は、硬化時間が速くなる場合があります。
★エポキシレジンの硬化時間の目安
1、流し入れる量が少量の場合、あるいは薄い形状、細長い形状の場合
→ 気温0度以下の場合 約5〜10日
→ 気温10度程度の場合 約2〜5日
→ 気温20度程度の場合 約2〜3日
→ 気温30度以上の場合 約1〜2日
2、流し入れる量が10g程度で、ひとつのかたまりとなる形状の場合
→ 気温0度以下の場合 約5〜7日
→ 気温10度程度の場合 約2〜3日
→ 気温20度程度の場合 約1〜2日
→ 気温30度以上の場合 約1日
3、流し入れる量が50g程度で、ひとつのかたまりとなる形状の場合
→ 気温0度以下の場合 約3〜5日
→ 気温10度程度の場合 約1〜2日
→ 気温20度程度の場合 約1日
→ 気温30度以上の場合 約1日
4、具体例 3×2センチ程度アクセサリーパーツの場合
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