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雑貨屋KUMAの田舎暮らしエッセイ 「東丹沢山ごよみ」 バックナンバー

  第1回
 「田舎暮らしをはじめて14年」

  第2回
 「私の住む集落を紹介しましょう」

  第3回
 「山歩きと日本の山林の現状」

  第4回
 「私の山の楽しみ方」

  第5回
 「山野草と山菜 春のよろこび」

  第6回
 「春から初夏の山」

  第7回
 「幻想的な梅雨時の山、そして夏へ」




第8回
「秋の山野草と山の生き物たち」
(2012年11月5日UP)

この 「東丹沢 山ごよみ」 では、神奈川県西部の山の中腹にある歴史の古い集落で、2012年12月までの約15年間、家族とともに田舎暮らしを楽しんだ私の日常や、山で見られる美しい花や風景をご紹介しています。



まるで絵のような美しさ
夏の間、まるでシルエットのように真っ黒だった富士山が雪を頂き、「富士山」 らしい姿になりました。

山では夏に一時的に花が少なくなりますが、9月中旬頃になりますと、今度は秋の花が咲きはじめます。

今回はそんな秋の花と、私の住む集落の周辺に住む動物たちを見ていただきましょう。 動画もありますよ。
まずは夏の終わりから初秋にかけて咲く、ヤマホトトギスです。 私はこの花が大好きなのですよ。 なぜと言ってデザインがとてもおもしろいでしょ? どうしてこんな形に進化したんでしょうね。 メリーゴーランドのような、UFOのような、赤ちゃんをあやすオモチャのような、不思議な形の花です。

このヤマホトトギスの芽は、山菜として食べられるくらいですから、たいていはシカや虫に食べられてしまって、なかなか花を見ることができません。 ですから見つけた時はうれしいのですよ。


ホトトギスという名前が付けられているのは、花の斑点模様が、鳥のホトトギスの胸の模様と似ているからだそうです。 山には鳥のホトトギスも生息していますが、残念ながら見たことはありません。 鳴き声が聞こえるだけ。

なんとも不思議なデザイン

ツリフネソウ (下) と変種の白花ツリフネソウ
これはツリフネソウ。 「吊り」 「舟」 です。
柄から花が吊り下げられた形なので、そういう名前がついているのでしょうね。 これも不思議な進化の仕方です。

種ができますと緑色のサヤがだんだんふくらんできて、さわるとサヤがバネのようにはじけて種を遠くに跳ばすんですよ。 その様子は夏に庭に咲くあの植物によく似ています。 そうホウセンカ。 ツリフネソウはホウセンカの仲間なんです。

画像はめずらしい変種の白い花です。 ときどき見かけるのですよ。 どちらもきれいですよね。
このあたりの山はほとんどが植林されたスギやヒノキの林で、そういったところでは植生が乏しく、生育する (できる) が限られるため、歩いていてもあまりおもしろみがないのですが、秋だけは別。

スギやヒノキ林一面に群生したヒヨドリバナが、いっせいに真っ白な花を咲かせるので、山の斜面全体が白く染まります。 それはもう美しい光景で、人が育てたんじゃないの?と思うほど、いたるところで群生しています。

一年に一度だけ、さみしい山の景色を彩ってくれるうれしい花です。

近づいてよく見ると
小さな花がたくさん咲いていて美しい

秋の一時期だけの楽しみ
これはセキヤノアキチョウジ。

ひとつひとつの花はおとなしげで、それほど派手ではありませんが、これが無数と言っていいほど花をつけますと、夜空の星が降り注ぐ瞬間をとらえたような、なんとも言えない美しい光景となります。

とにかくこの青紫の色がきれいなんですね。 ただ、花がたぁ〜〜くさん咲いていますから、デジカメのピントを思い通りのところに合わせるのがむずかしくて(^^;)

今年は何か所かで群生を見ることができて幸せでした。 
厳しい冬の寒さがゆるむと、山の斜面で真っ先に芽を出すのがこのヤマトリカブト。

春から梅雨の頃までは、いたるところがこのヤマトリカブトだらけになるのですが、夏の台風や大雨、強い風のために、ほとんどの株が地上の茎や葉を枯らしてしまい、秋に花をつけるのはほんの少し。
春の芽吹きの頃、「これが全部咲いたらさぞかしきれいだろうな」 と淡い期待を抱くのですが、現実には毎年一生懸命に探して、ようやく見つけて画像を撮っています。

猛毒があることでなにかと敬遠される花ですが、私はこれほど美しい花はそうたくさんある物ではないと、そう思っています。 毒があるのは子孫を残すための進化の結果であって、植物のせいではありません。 美しいものは美しいのですよ。

奇跡と言ってもいいほどの美しさ

形がおもしろいね
白いブラシのような不思議な花、サラシナショウマ。

不思議なことに、このサラシナショウマの種は、上のヤマトリカブトとほとんど同じ形なのです。 花も葉っぱもまったく違うのに、本当に不思議です。
木々の葉の緑色があせてきて、山からだんだんと色彩が乏しくなっていく秋、とてもよく目立つのがこのガマズミの実。 真っ赤です。
木の実は食べることができて、味は甘酸っぱくてザクロによく似ています。 焼酎に漬けると薬酒になると本で読んで、20年程前に作ったことがありますが、全然おいしくなかったので捨ててしまいました。

赤い色おいしそうな色で鳥を惹きつけて、食べてもらうことで種を遠くまで運ぼうという計略なんでしょうかね。 畑の中にきゅうにいろんな木の芽が出てくることがあるのは、たいてい鳥がフンを落として、その中の種が発芽するのでしょうね。
 

なんかサンゴを連想してしまいます

真っ赤で実においしそうに見えますね
15年目で初めてこの周辺で木の実を見つけました。 これがなんであるかすぐにわかる人は、相当に植物にくわしい人と言っていいでしょうね。

ツルについた赤い実、これはツルリンドウの実なのです。 ツル性のリンドウなんですよ。 秋にできる赤い実はよく目立つので見つけやすいですが、花は淡い紫、と言ってもほとんど白で目立たず、なかなか気づきません。

ピョロッと伸びためしべの残りがついていて、なんだかリンゴみたいに見えますね。 かわいくてとてもきれいな実です。


場所を覚えましたから、来年はぜひ花を見に行きたい。




さて、ここからは動物の登場です。

これは夜、山道で自転車に乗っていた時に撮ったもので、一見リスのようですが、リスよりもずっと大きくて、小さめの猫くらい。 これは実はムササビなんですよ。

頭に着けていたヘッドライトの光が、ムササビの目に反射して光っていたので見つけることができました。 このあと枝から枝に飛び移って、最後にぱっと飛んだかと思うと、前足と後ろ足の間のまくが羽根のように開いて、シューーーッと飛んで暗闇に消えていきました。

ぱっと開いたときの大きさは座布団くらい。 けっこう大きくてびっくりしましたよ。 ちなみにムササビよりもずっと小さいのがモモンガだそうです。


ちなみに私は、たいていの場合デジカメを持ち歩いています。 この時も自転車の荷台にデジカメを載せていたのでラッキーでした。

体と同じくらいの大きなしっぽ
おなかは真っ白でかわいい

絵で描くタヌキそのまま
さて、今度はわかりますよね。 かわいいタヌキです。

足跡は山の林道で見つけたもの。 最初はけっこう大きくて、とがった爪の跡がありましたから、ツキノワグマかと思いましたが、ネットで調べてみたら、その特徴のある肉球の形でタヌキとわかりました。 後ろ足だったから大きかったんですね。

ちなみに画像のタヌキは、たぶん今年の春に親離れした、まだ若いタヌキです。 ブログでも書きましたが、春ころに家のまわりに毎晩タヌキがうろうろして、キューキュー鳴いていたのですが、その時はちっぽけで、やせて毛が抜けてみすぼらしい仔でした。

それから半年たって立派になりましたね。 今、家のまわりには2頭のタヌキが来ています。 まだ小さくて仔犬程度。 とってもとってもかわいい♪ でもタヌキは獰猛ですから気をつけなければいけませんよ。


ニホンザルです。

ニホンザルはとても凶暴な野獣ですから、絶対に近づいてはいけませんし、目を合わせてもいけません。
ここの小学校では、サルに出会った時の対処法を教えるくらい頻繁に人里に現れて、農作物を持っていきます。

とはいえ、母親のおなかにくっついた小さな子ザルはめちゃめちゃかわいいですし、敵対関係でなければ、つまり遠くから眺めている分にはとてもかわいいですよ。


地球上の北限に住むサルとして、生物学的にとても貴重なサルなんです。 仲良く共生したいものですね。

車の中から撮影


野生のニホンリス (ホンドリス) の動画です。
10メートルくらい先の木の枝にいるリスを撮影したのですが
動きが素早いですからカメラがぶれてちょっと見づらいところはご容赦くださいね。






シカの脚力はとてもすごいのです
山で一番よく見かけるのはニホンジカ。 ここは神奈川県ですから、亜種としてはホンシュウジカですね。
もうしょっちゅう出くわします。 うちの庭で寝てたこともありますよ。

たいてい見かけるのはメスですね。 メスとその子供です。
オスは繁殖期にしかメスと一緒にいませんから、子育てはメスだけで行っています。 いかんですな!
一度山の中でシカのハーレムの群れに出会ったことがありますが、一頭のオスジカが6〜7頭のメスを従えていました。 これはこれで大変だな、と。

とにかくシカはかわいいです。 とくに子供のシカはアニメのバンビそのもので本当にかわいい。


シカの動画です。
かなり近づいても逃げませんでしたから、ちょっと弱った個体なのか
あるいは年老いたシカなのかわかりませんが、とにかく無防備。
ここまで接近して、しかも寝ちゃいましたからね。





おまけ。

これは鳥の巣のように見えますが、鳥の巣ではありません。 巣のようなものは栗の木の枝をへし折って、器用に編んで作ってありました。 巣のような物の大きさは、直径約60〜70センチくらい。

これはツキノワグマの寝床です。 寝床と言っても巣ではなく、ちょっと昼寝をするためのベットのようなもののようですね。

ツキノワグマはとても神経質な生き物で、そのためその生態はいまだによくわかっていないそうです。 ニュースで 「クマに襲われた」 というのは春先と冬の前によく聞きますが、それ以外の季節は、よほど山奥に入らない限り、ほとんど人が出会うことはないでしょう。

最近は温暖化の影響か、冬眠をしない個体も確認されているそうですから、山に入る人は十分に気をつけましょうね。
もちろん私も細心の注意を払っております。 クマがクマに食べられた、だなんてシャレにもなりませんからね(^^;)

どうやってこんなに上手に作るんでしょうね?




丹沢から相模湾を眺めた風景です。 中央やや左に小さく江の島が見えます。


山に暮らしていますと、人間がこの自然の中で異端者だということを痛感します。
邪魔者と言ってもいいくらい、動植物にとって自分勝手で厄介な存在です。
シカやタヌキやサルやクマが里に下りてくるのも
山をスギやヒノキだらけにしてしまったから。
そして彼らの目の前で、おいしそうなものを栽培して見せびらかしていれば
生きるため、子供を育てるために危険を冒して畑に来るのはしょうがないこと。
どうしたらいい関係が築けるんでしょうね。
答えはまだまだ遠いな。