第1回
「田舎暮らしをはじめて14年」
第2回
「私の住む集落を紹介しましょう」
第3回
「山歩きと日本の山林の現状」
第4回
「私の山の楽しみ方」
第5回
「山野草と山菜 春のよろこび」
第6回
「春から初夏の山」
第7回
「幻想的な梅雨時の山、そして夏へ」
第8回
「秋の山野草と山の生き物たち」
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第6回
「春から初夏の山」
(2012年6月1日UP) |
この 「東丹沢 山ごよみ」 では、神奈川県西部の山の中腹にある歴史の古い集落で、2012年12月までの約15年間、家族とともに田舎暮らしを楽しんだ私の日常や、山で見られる美しい花や風景をご紹介しています。 |
ここから見る富士山が一番好き。 |
今回は新緑の山の美しい風景をたくさん載せようと思ったのですが、新緑のあの鮮やかな緑色って、ネット用のサイズに縮小してしまうと再現できないんですよ。 で、あきらめて美しい花の画像を満載でお送りしましょう。
最近は毎朝1時間半から2時間ほど、コンパクトデジカメを持って山の中をウォーキング&ジョギングしていますから、その時に見つけて撮影した画像と、ゴールデンウィークに山を1日歩いた時の画像を合わせてご覧いただきますね。 |
不思議な形をしたこの花はイカリソウ。 イカリは 「怒り」 ではなく、船の 「碇(いかり)」 に花の形が似ているから。
色はピンクと紫と白をグラデーションにしたような、なんともいえない淡くてきれいな色です。
こんなに可憐で美しい花が当たり前のように咲いているこの山の集落に住んでいることを、心から幸せと感じますね。
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可憐で美しいイカリソウ。 |
摩訶不思議な姿のアケビの花。 |
アケビは実やつるをつかった手編みのカゴなどでその名前が知られていますね。 でも花をご存じの方は少ないのではないでしょうか?
アケビには葉っぱが3枚のミツバアケビという種類も山に同じように自生しています。
ミツバアケビの花は、このアケビの花に似ていて赤紫色です。
花はたくさん咲くんですが、秋に生る実はとても少ないのです。 たぶん鳥やサルが先に見つけて食べちゃうんでしょうね。
アケビの実は果実の中の種を包んだ白い綿状の実を、口に含んで甘みを楽しむんですよ。 |
植物好きの私が最近心ひかれているのがつる性の植物。
ほかの木につたいからまることで、省エネルギーで生長する方法を選択した種ですね。 先にご紹介したアケビもそうですが、今年気になっているのがこのサルトリイバラ。
サルトリとは 「猿捕り」 です。 つまり敏捷な猿でさえからめ捕られてしまうほど丈夫で繁茂している、という意味なんでしょう。 まぁ 実際にはそれほどでもないんですけどね。 でもおもしろい命名です。
気にして山を歩いていますと、いたるところにからまっているのを見つけます。 そして以前から見たいと思っていた花を今年初めて見ることができました。
たぶんこれまでも視界には入っていたのでしょうけれど、興味のないものは意識に入ってきませんから、それで気づかなかったんだと思います。
不思議なつるの形状、そしてマリ状に咲くかわいらしい花、葉の美しい黄緑色、葉の基部の赤い色、すべてが見事に調和していました。 |
自然のものとは思えない幾何学的な
サルトリイバラのつるの形。 |
クロモジの花を知ったことが今年の収穫。 |
前回にもご紹介しました、楊枝の原料として昔から活用されてきたクロモジ。 枝を削って楊枝にするといい香りがするので利用されるわけですね。 昔の日本人は豊かな感性を持っていましたからね。 今? 今の日本人は
ぁ まぁ それなりにあれですけどね・・・。
以前からこの近辺の山にクロモジが生育していることは知っていましたが、あまり特徴のない姿の木ですので、これまではあまり興味がなく、積極的に探してみようとしませんでしたが、花を見てから俄然好きになって気になる存在となりました。
房状にたくさんの花を咲かせる時期は、あっちにもこっちにも生えていることがわかりますが、花が終わってしまいますと、ほかの植物に埋没してなんだか目立たなくなってしまいます。
山を歩いていて見つけると、葉っぱを一枚ちぎって香りを楽します。 とてもいい香りなんですよ。。 |
花の形を見て「シソ科だな」とわかる方は植物通ですね。
さぁ〜いらっしゃいとばかりに花びらを広げて、甘い蜜で虫を誘い、アーム状に伸びたしべの花粉を虫の背中に付ける仕組みになっています。 実に見事な進化の結果だと感心してしまいます。
私はどういうわけか子どもの頃からシソ科の植物が大好きで、前回ご紹介しましたカキドオシもそうですし、早春から初夏まで長く咲く小さなキランソウも、この集落にはいたるところに群生しているオドリコソウもシソ科の植物で、みんな私が大好きな花たちです。
道端によくシソが野生化して生えているのを見ますが、そういうのを見つけますと、もう葉っぱをちぎって香りを楽しまずにはいられません。
子どものころからのクセなんですが、なんなんでしょうね。 |
オウギカズラ。
めだたないけれど好きな花のひとつ。 |
これぞ進化の不思議、ウラシマソウ。 |
最近は園芸店でも売られているウラシマソウ。
ウラシマは 「浦島太郎」 から来ています。 苞状の花の中からムチのようなものがベロ〜ンと伸びているのがわかりますか? このベロ〜ンと伸びた姿を浦島太郎の釣竿と糸にたとえてつけられた名前だそうです。 そう連想して名前をつけた人は偉大ですな。
このベロ〜ンとしたものがなにかの役に立っているのでしょうか? たぶんなんの役にも立っていないのでしょうね。
進化というのは突然変異の積み重ねで、かならずしもその方向性に意味があるわけではないので、時にはわけのわからないものが生まれるのでしょうね。 だからおもしろいんですが。 |
ウラシマソウと同じ仲間のコウライテンナンショウ。 とにかくこの黄緑色と白のストライプがきれいなのですよ。 私は究極の美のひとつだと思っているほどです。 とにかくきれい。
これほど撮りがいのある植物もそうはないと思いますね。 毎年出会いを楽しみにしている大好きな花です。 きれいでしょ? |
ただただ美しい色あいのコウライテンナンショウ。 |
名前がわからないつる性の花。 |
今年はじめて見つけた花。 いまだに名前がわかりません。
つる性の植物で、花を咲かせている株はこれだけでした。 白でもない、黄色でもない、緑色でもない淡い色の花がきれいでね、なんと言う名前の植物なのか、我が家にある数冊の図鑑を調べてもわかりませんでした。
時間に余裕ができたら、じっくりとネットで探しますよ。 自分にとって未知の植物に出会いますと、わくわくします。 もううれしくてしょうがない。 |
桜の仲間だとは思えませんね。 でも仲間だそうです。
花が咲きますと、山の斜面の一点だけが真っ白になっているのでよくわかります。 白とはの緑のコントラストが非常に美しいのですが、この画像からはその美しさがとうてい伝わりませんね。
ウワミズとはなんとも変わった名前ですが、これは 「上溝(うわみぞ)」 がなまったものだそうで、昔この木の枝の上の部分に切込みを入れて、亀甲占いのようにその裂け方で物事を占ったのがゆえんだと読んだことがありますが、本当だかどうだかわかりません。 でもおもしろいなと思いますね。 魚編に占いと書いて鮎(あゆ)と読むのと同じような意味合いですよね。 |
ブラシのような白い花がきれいなウワミズザクラ。 |
前回山菜としてご紹介したウコギの花。 |
サルトリイバラとともに以前から見たいと思っていたウコギの花を、今年ようやく存分に観察できました。 とてもうれしい。
去年林道を歩いていて、たまたま道沿いにこれまで見たこともないほど大きなウコギの木を見つけて、春からずっと楽しみにしていたのです。
枝にびっしりとマリ状の花をつけます。 ひとつひとつの花はめだたず、花らしくもありませんが、木全体を見ますと見事ですね。 一生懸命に生きているんだなぁ、そんなことを思ってしまいます。
このあと花が実になります。 丸くマリ状に実がついたらどんな感じなのでしょうね。 これからの楽しみです。 |
目に鮮やかな黄色い花を咲かせたヤマブキが終わるころになりますと、今度はさまざまな種類のウツギが花を咲かせ始めて、山は黄色から白へと変わります。
これ以上の白があるだろうか?と思えるほどの純白が、言葉では表現できないほど美しいですね。 なにか特別の意味を持った花、という感じさえします。 |
卯の花とも呼ばれるウツギ。 |
色の変化が美しいハコネウツギ。 |
ウツギはたいてい白い花を咲かせるのですが、このハコネウツギはご覧のように鮮やかなピンク色です。
白とピンクと濃いピンクが混在しているのが不思議でしょ? 咲いたときは白いんです。 それが少したつとピンク色になって、そして徐々に濃くなっていくのです。 それでこのように3色が混在しているのですよ。 きれいでしょ?
生育している場所や株によってピンク色の濃さが違いますから、土の質や日当たりに理由があるのかもしれませんが、どうしてピンク色になっていくんでしょうね。
アントシアニン色素が変化するのだろうとは思いますが、おもしろいです。
こんなに美しい花で林道沿いの斜面がおおわれているのですよ。 それはもう、うっとりとしてしまう光景です。 |
春から初夏にかけて咲く花はとても多くて、ここにすべてをご紹介することはできませんが、花が好きな方にはお楽しみいただけたのではないでしょうか?
なぜかはわからないけれど、小さいころから植物が大好きな私は、山にいて草や木々に囲まれ、包まれている時間が一番好きですね。 とても落ち着きます。
登山? 沢登り? トレッキング? 私はそういうものにはまったく興味がありません。 ただただ植物たちに囲まれていたいだけなので。 |
このままずっと山にいたい、そう思う時間ですね。 |
植物や花に興味のない方には退屈な内容だったでしょう。
あ、そういう方はここまでお読みになっていませんね(^^;)
いいんだ、私は花を見ているのが一番好きだからさ。
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